デモテープ

うちをリフォームしようと部屋を片付けています。大量の音楽資料、捨てられません‥‥どうしよう。そして、出てきました。昔々、アイドル時代サンミュージック時代のデモテープ。あの頃を思い出してしまいました。

そうデビューから1年を過ぎた頃‥。

いろいろあって歌は売れませんでした。ご存知の方は頷いていらしゃるかしらね?デビュー前から先が見えていたレース。正直、どんな顔をして歌ったらいいかわからなく、いつのまにか私は人形のようになっていました。誰を信用したらいいのか、何を信じたらいいのか、私は当時そんな顔をしていたのかも知れません。しかし、そんな私でも応援してくれているありがたい人達もいてくれ、石井ふく子先生からドラマのお仕事を何度か頂いて、全くの素人だから丁寧にいろいろ教えて下さったり可愛がって頂いたりと、少し別の道を歩こうかとしている時でもありました。そしてその後、光栄にも別の局でドラマの主演が決まり‥‥しかし、その台本を両親に見せた直後から、何かが変わったのに私は全く気付きませんでした。私は卒業アルバムの文集に「女優になりたい」と書いていたことがありました。だから頑張ろうと思っていたのですが、いつのまにか事務所を辞めさせようとする包囲網が私を取り囲んでいたのです。

娘がボロボロになるのを見ていられなかった‥?父はいつだって私に有難いお芝居のお仕事の話を頂いくと即お断り。父が亡くなるまでずっと不思議でした。父には私が同じ世界に入ることだけは阻止しなければならない理由があったようでした。それなら最初から娘を芸能界になんて入れなきゃ良かったのに!そうも思いますが、父もいろいろあったのかも知れません。父のおかげで芸能界でも可愛がって頂いたわけですし、当時私は未成年。それもこれも私の運命だったのでしょう。ただキャスティングしていただいた後の突然の降板、理由はどうであれ、当時私は認識していなかったその責任のなさにご迷惑おかけしたのだろう、本当に申し訳ないことをしたと思っています。

 

部屋の片付けでみつけたデモテープ、聞いてみました。この声は16歳かな。まだ子供の声。あどけない。あんな子供なのに、あんな子供だから自分を失くしてしまったのか、自分がなかったのか?あんなに恵まれていたのに何だか音を立てて崩れてしまった。その崩れたゲージの中で一人でもがいていたっけ、あの頃。15歳くらいで一人で芸能界で頑張ってお仕事している人達はすごいなぁ。

このデモテープは、ニューシングルとアルバムを作る予定でレコーディングしたものです。その前にやめてしまったのでかわいそうに日の目を見なかった作品もあったわけで‥ごめんなさい。その何曲かは後輩達が世に出してくれて本当に良かったです。

 

それでも、私の歴史。私の人生が大きく変わった数年間。もう一度戻りたいとは思わないけれど、夢が叶う魅力的な場所だったことは確かです。「女優になりたい」、そのチャンスはシャボン玉のように〝生まれて消えた〟ので、次の人生で。

 

 

3 Comments

  1. 女優志望だったのですか
    勝手な見方ですけどデビュー当時の圭以子さんは確かに飛び抜けた美少女ではあったけれど他の、いわゆるアイドルの方たちのような早熟な臭いが感じられず、もう少し大人になったら大輪の花が開く、そんな印象だったので女優さんは向いていたのかもしれないですね
    多分、父上から受け継いだ素養もあったのでしょうが、その世界にいらした父上だからこそ圭以子さんに足を踏み込ませたくない大変さを知っていらしたのではないでしょうか

    いずれにしても今の幸せや今身近にいる大切な人たちは実際に歩んできた人生があったからこそ出会えたのだと思います、もしもの世界では出会うことができなかったのですから

    ご家族とご自身とそして歌うことを大切に、幸せな今がいつまでも続きますように

    勝手な見方を述べたので失礼があったらお許しください

    1. エドワード様
      コメントありがとうございます。女優志望?うーん、どうでしょう。アイドル志望でなかったことは確かで、一応アイドルとしてグループわけして頂いていますが、デビュー当時も事務所としても少し違う路線狙いだったようです。
      サンミュージック時代の話しは単に思い出に過ぎないのですが、家族との距離はなかなか厳しいものがありました。
      でも、そう、今の幸せやまわりの大切な人たちに出会えたことを想うと全てが正解ですよね。

      ありがとう。

  2. アイドル時代の経緯については
    ご自身の旧ブログ(形式上は特定ファンが管理)にも記載されており
    某トップアイドルのデビュー時の逸話としても話題になりましたね。
    ただ、業界での不運な出来事を踏まえたとしても、正直なところ
    80年代アイドルに向いていなかったというのが世間の評価だと思います。

    その辺はファンの方々も感じていると思うので
    いつまでも悲劇的な表現をするのは、逆に過去を昇華できていないようで痛々しく感じます。
    過ぎた時代のことは圭以子さんなりに前向きな表現で書かれる方がよいと思っています。

    唐突に不躾な書き込みをしたことをお許しください。

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